前回の記事で、生命保険(死亡保険)がいくら必要かは、その人(例えばパパ)が亡くなった場合を想像して、残された家族の「一生分の支出」と「一生分の収入+今ある貯蓄」を比べて考える、とお伝えしました。
一生分の支出はなんとなく計算できそうですが、一生分の収入となると何のアテもない!と思う人もいるかも知れません。でも実は、普段は意識せずに加入している心強い保障があるんです。
それが、社会保険です。
社会保険には、年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険があります。そして、パパにもしものことがあった場合に頼りになるのは遺族年金です。
パパが自営業者の場合、18歳未満(障害等級1級・2級は20歳未満)の未婚の子どもがいれば、遺族基礎年金を受け取ることができます。
パパが会社員の場合、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金ももらえます。(パパが公務員や私立学校の教職員の場合に加入している共済は厚生年金と制度が似ているので、厚生年金を共済年金と読み替えてください。)
では、誰がいくらもらえるのか見てみましょう。
遺族基礎年金をもらえるのは子または子のある妻です。子というのは、18歳になった年度の3月31日までにある未婚の子(つまり高校卒業まで)、または障害等級1級または2級で20歳未満の未婚の子、をいいます。子も妻も、年収が850万円未満であることが条件です。
遺族基礎年金の額(年額)の目安は、次のとおりです。
妻+子ども1人 |
妻+子ども2人 |
妻+子ども3人 |
約100万円 |
約123万円 |
約130万円 |
※子どもが3人目以降は1人増えるたびに74,600円増えます。
……あれ? 夫は? 実は、現在の制度では夫は遺族基礎年金を受け取ることはできません! でも、2014年4月からは夫にも遺族基礎年金が支給される予定です。
夫が受け取る場合の条件等はまだ確定していませんが、年収は850万円未満でなければならず、専業主婦である妻が死亡した場合には受け取れないことになりそうです。このあたりは今後の動向に注目する必要がありそうですね。
遺族厚生年金は、配偶者、子、などが受け取れます。子の条件は、遺族基礎年金を受け取れる子と同じです。夫は、妻の死亡時に55歳以上であることが条件で、支給開始は60歳からです。
遺族厚生年金の額は、亡くなった人の平均標準報酬額によって変わります。平均標準報酬額というのは、ザックリいうと、入社以来の給与+ボーナスを勤続月数で割った平均値のようなもののことです。
目安として例を挙げてみると、
2003年以降に入社し、平均標準報酬額が35万円(入社以来のボーナス込みの平均年収が420万円)の人が亡くなった場合、遺族厚生年金は年額約45万円になります。(※詳しくは日本年金機構にご確認ください。)
また、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っていた子のある妻が、遺族基礎年金を受給できなくなったとき(子どもが高校を卒業したとき)には、中高齢寡婦加算というのがあり、年額約58万円を65歳まで受け取ることができます。
さらに、お勤め先によっては遺族年金のほかに、子どもの育英資金をサポートしてくれる制度がある場合もあります。この機会に一度お勤め先の制度を確認してみてください。
どうですか? ちょっと安心できましたか? 次回は具体例を使って一緒に必要保障額を考えてみましょう。
(mama記者・宮野真弓)