絵本作家・いわむらかずおさんの人気シリーズです。
自然の中で生活をしている14匹のねずみ家族のお話。
朝ご飯、お月見、もちつきなど、ねずみたちの日常生活のとある一日が切り取られ1つの物語となっています。
私がこの本をオススメする理由は、3つです。
(1)絵が素晴らしい
どのページも、そのまま1枚のポスターにできるほど美しく、あたたかい絵です。
ねずみたちは1匹ずつ、草花は1本ずつ、自然の生きもの、水の流れ、風のそよぎ、空の色……すべてが細かいところまで丁寧に描かれています。
この細部までの気配りに、子どもだからこそちゃんとしたものを見せたい、与えたいという作者の想いが伝わってくる気がします。
よくよく見ると、葉と葉の間に蟻がいたり、てんとう虫が隠れていたりするのに気付きます。
この発見も、14匹シリーズの面白さのひとつです。
私は、それらを息子自身が見つけるまでは気付かないふりをしていました。
最初は、ねずみたちや、テキストに出てくる単語の絵にだけ注目していた息子も、何度も読むうちに細かいところまで見るようになり、「あ、みて! かまきり!」などと嬉しそうに教えてくれるようになりました。
本当によく描き込まれていて1ページの情報量が多いので、テキスト以外のお話も即興で作りやすく、毎回違うことを話したり出来るのも味わい深いです。
(2)物語があたたかい
刺激的なハプニングもドラマチックな事件もない、生活の一場面。
それがこの、「14ひきの〜」シリーズです。
たとえば「14ひきのせんたく」では、一家が川に洗濯物を運んで洗濯をして干すというストーリーですが、その中には
- 家中の洗濯物を持って森の中を進み
- みんなで手分けして川で洗濯し
- カエルを洗濯板に乗せて遊んでいたねずみが手を離してしまいカエルが流され
- それを追いかけてみんなずぶ濡れ、そのまま川で泳いで遊んで身体も洗濯
- お父さんたちが高い木の上に物干し場を作ってくれたのでみんなで干す
などの微笑ましい出来事が溢れています。
家族みんなでわいわいと行う雰囲気にほっこりします。
また、この絵本のおかげで息子が家事のお手伝いに興味を示すようになりました。
(3)キャラクター設定がおもしろい
おじいさん、おばあさん、おとうさん、おかあさん、10匹の子どもたち。
子どもたちは、年齢順に数字にちなんだ名前が付けられています。
1番目=いっくん、2番目=にっくん、3番目=さっちゃん、など。
10匹もいると覚えるのが大変かと思いきや、人形のお世話が好きなくんちゃん、ぼんやりしていてどこか抜けているろっくんなど、それぞれのキャラが立っていて、どのページの絵にもそれぞれの性格が表れているので、読んでいるうちに自然と覚えてしまいます。
皆の性格を覚えると、絵を眺める楽しさも倍増します。
「あ、にっくんはやっぱりろっくんのこと心配なんだねぇ」
「いつも元気なごうくんはここでも先頭を歩くんだ」
子どもとそんなことを話しながら、物語をじっくり味わっています。
草花や虫など自然大好きな息子にとって、このシリーズはドストライクでした。
今年の夏は、栃木県の「いわむらかずお絵本の丘美術館」に行ってみたいなぁ。
(mama記者・レトロ)
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