前回の連載第8回では、具体例を使って、生命保険にはいくら入ればいいかを考えてみました。
(前回の記事はコチラ > 『[08] 生命保険っていくら必要なの?』 )
でも、それは今必要な保障の額です。
必要保障額は常に一定ではありません。
家族が増えれば必要保障額も増えますし、子どもが成長すればそれにともなって必要保障額は減っていきます。
また、住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合は、一般的に団体信用生命保険に加入するので、その分必要保障額は減ります。
必要保障額をイメージ図にすると、こんな感じです。
では、わが家に必要な保障をどんな生命保険で準備すればいいでしょうか。
生命保険を選ぶには、保険のカタチを知る必要があります。
生命保険の基本形は次の3つです。
(1)定期保険
定期保険は、一定期間の保障が得られる保険です。一般的にいう掛け捨てタイプで、満期保険金や中途解約時の解約返戻金はありません。その分、保険料は安くおさえられます。何年かごとに更新があるタイプは、更新のたびに保険料が上がります。
(2)終身保険
終身保険は、一生涯の保障が得られる保険です。中途解約時に解約返戻金を受け取ることができ、貯蓄性が高い保険といえますが、保険料払込期間中に中途解約すると解約返戻金は払込保険料よりも少なくなります。年齢や保険金額などを同じ条件で加入した場合、定期保険に比べて保険料が高めです。
(3)養老保険
養老保険は、一定期間の死亡保障に加えて、満期時に生存していた場合には死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れるという、貯蓄機能を備えた保険です。中途解約時には解約返戻金を受け取ることができますが、解約返戻金は払込保険料よりも少なくなります。生存していても死亡してしまっても同額の保険金が受け取れる分、保険料が高いです。
でもこの3つ、最初に見た必要保障額のイメージ図のカタチとはちょっと合いませんよね。
そこで、必要保障額のカタチに合わせた保険があります。
(4)逓減(ていげん)定期保険
逓減定期保険とは定期保険の変形タイプで、時間の経過とともに保険金額が減っていく保険です。徐々に保険金額が減っていくため、当初の死亡保険金額が同じ定期保険に比べると保険料が割安です。
(5)収入保障保険
収入保障保険とは、死亡保険金を一定期間、年金形式で受け取る保険です(一括受取も選択可能)。年金(保険金)を受け取れる期間は、死亡してから保険期間終了まで、という商品が一般的で、保険期間が進むにつれて、受け取る年金の総額が減っていきます。
一般的に、逓減定期保険よりも収入保障保険の方が保険料が割安です。
さて、ここまで5つの保障のカタチを見てきました。
保険を見直そうかな?入り直さないとダメかな?と思った人もいると思います。
まずは、どんな保障のカタチがいいかを考えてみましょう。
その際、保険に入り直すことを前提にする必要はありません。
今入っている保険を活用できる場合もあります。
たとえば、定期保険をやめて収入保障保険に入り直したいと思った場合、定期保険の更新のタイミングで保障額を減らせば、収入保障保険に入り直すことなく、同じような効果を得ることができます。
また、ひとつの商品ですべてを準備する必要もありません。
例えば、お葬式代は終身保険で備えて、子どもが独立するまでは定期保険を上乗せする、というのはよくある加入パターンです。
さらに、保険ばかりに頼らず、しっかりと貯蓄をしておくことも重要です。
保険の見直しで減った分の保険料を一部でも貯蓄に回しておくことで、家計の基礎体力が上がりますよ。
そして、保険の見直しをするときの注意点があります。
それは、
新しい保険の契約が成立してから古い保険を解約すること!
健康状態などによっては、新しい保険に思った通りに加入できないケースがあります。
そんなときに、先に古い保険を解約してしまっていると無保険状態になってしまいます。
そうならないためにも、新しい保険に加入できたことを確認してから、古い保険を解約するようにしてくださいね。
それぞれのご家庭に合わせて、ムリなく、ムダなく、必要な保障を準備しましょう。
(mama記者・宮野真弓)