【連載】うちの子がすきな絵本[44]
2歳になったくらいのときに、おばあちゃんが買ってきてくれた絵本が『よるくま』です。
■よるくま
ベッドに入って、おかあさんとお話をする男の子がいます。
「きのうのよるね、うんとよなかに かわいいこがきたんだよ」
ちいさな男の子のところに、ある夜突然“くまのこ”がやってきて、いなくなってしまった、“くまのおかあさん”を一緒に探しに行く、という物語です。
最初に読みきかせたときは「そうでもないのかな?」という感触だったのですが、2~3回読んでいるうちにだんだん夢中になってきて、自分から「『よるくま』読む!」と言って持ってくるようになりました。
しばらく忙しくてあまり相手をしてあげられなかった日に、2人で寝室でゆっくりこの本を読んでいたときのこと。
よるくまを置いてお仕事に出かけていたくまのおかあさんが、「どこいってたの!」と泣くよるくまを抱きながら、「おまえはあったかいねえ、今日はこのまま抱っこして帰ろうか。」というくだりに、つい私のほうがほろっと来てしまいました。
日頃忙しいお母さんやお父さんに、とってもおすすめです。
青と黄色、黒と白というような反対色の色使いが見事で、よるくまの表情もとってもかわいいです。
細かく書き込まれている絵ではないので、手にとった瞬間は「ちょっともの足りないかな」、とも思ったのですが、よく見るとシンプルな構図のなかに、いくつか見開きで大きく華やかに描かれるページが差し込まれてゆくバランスや構成が絶妙。
まるで、よるくまの感情が各ページから溢れてくるかのように、さみしさや不安やうれしさがダイナミックに伝わってきます。
ページをめくると、よるくまのおうちのテーブルの下にかたつむりがいたり、男の子が電線の上を渡っていたり、おかあさんが夜空の海でおさかなを釣っていたり……。
「子どもたちの頭のなかは、いつもこんな感じなのかもしれない」と思わせるようなシーンの数々が、子ども部屋のベッドで眠るの日常の世界から、豊かな空想の世界に飛躍する感じもとても素敵です。
“男の子のおかあさん”、”男の子”、”よるくま”、”よるくまのおかあさん”と人称が変わってゆくのを地の文ではなく、書体や表記で表しているので、慣れるまではちょっと読みにくさがあるのですが、慣れてくると独特のテンポやリズムがつかめてきて読み聞かせるのが楽しくなってきます。
今では、息子はすっかり文章まで覚えてしまい、
「ごめんごめ~ん!おかあさん、おしごとしてたの~!おさかなつってたの!」
「たすけてながれぼし!」
「きのうのよるね~!」
…と遊びながらひとりごとを言うほどです。
絵本の男の子と同じように、くまのぬいぐるみを横に置いてこの本を読むのが、寝る前の定番になりました。
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