今日はお子さん向けではなく、ママに読んでほしい詩集をご紹介したいと思います。
(わたしは「亜久津歩」というペンネームで詩を書いたり、詩集などの本をつくるお手伝いをしています。この夏まで、小さな出版社に勤務していました)
▲『こどもの祈り』川崎洋・監修/栗原佳子・画/日高あつ子・編(ブックマン社)
「詩集」というと、むずかしそう、おもしろいの? と思われるかもしれません。
こちらの本は「こどもたちが書いた詩」を集めたものなので、親しみやすく、あたたかな内容になっています。
全体で29篇・46ページなので、読んでいて疲れてしまう、ということもないと思います。
子どもと過ごしていると、
「この子には世界がこんなふうに見えているのか」
「小さなことでも、本当に楽しそう」
「子どもの頃は、不思議なことばかりだったな……」
そんなふうに気づかせてもらえることが、たくさんありますよね。
本書は、子どものまっすぐなこころとことばがぎゅっと詰まった、驚き、時には感動し、笑顔になれる一冊です。
「まめまき」という金井有希子さん(2歳)の作品は「おにあーそぼ」という一行のみ。
それでも、『鬼は悪いものとして、みんなで追い出すもの』『仲間はずれにして、やっつけてよいもの』という“決まり事”にこだわらない自由さ、「みんな仲良く」を願う子どもの気持ちがぎゅっとこめられていて、かわいいな、と思うとともに、どこかはっとされられます。
「いもほりえんそく」という詩で浅野悠さん(4歳)は、芋堀りに行ったのに「おそらがいっぱいあったんだよ」と報告をします。
目先の“目的”だけではなく、上を向き世界をまるごと楽しんでいる姿は、たくましささえ感じます。
慌ただしい日々に追われているとつい忘れてしまう、覚えていても、立ち止まることができずに過ごしてしまう子どもとの時間ですが、こんなふうに書き留めておけたら、すてきですよね。
絵本ではありませんが、お子さんと一緒に読むこともできます。
「まめまきで、『おにあーそぼ』って言っちゃったんだって! 鬼さんとも仲良くできていいねぇ」と息子に言うと、「なんだそりゃ!なんだそりゃ!」と爆笑されました(笑)。
この本が、ママのちょっとした息抜き、息継ぎになるとよいなと思います。
わたしは図書館でこの詩集と出合ったのですが、すでに絶版のようで、Amazonでは中古が1円(送料別)から出ています。
ご興味を持たれたら、ぜひご覧になってくださいね。
【内容紹介】
子どもたちの初々しい感覚から生まれた詩の数々。『読売新聞』連載「こどもの詩」をまとめた1996年読売新聞社刊「ママに会いたくて生まれてきた」と、2000年文芸春秋刊「こどもの詩」から29編を選び画を添える。
(「MARC」データベースより)