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0歳児子育てのいいようのないつらさを救ってくれた本(後編)

 

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乳児の子育てで、「(こんなに大変なのに)わかってもらえていない気がする」「何がどう大変か上手く説明できない」と私が抱え続けていた大きなモヤモヤ。

現役ママの間だけで、そうだよねー、大変だよねーと言いあって終わるだけでは、スッキリ解消することはできませんでした。

(詳細は前編をご参照下さい > 『0歳児子育てのいいようのないつらさを救ってくれた本(前編)』)

 

今振り返ると何をそんなにムキになっていたんだろうと思いますが、私が初めて経験する種類のこのしんどさを、子育て経験のないひとにも伝わるように説明できないことに、言いようのない孤独を感じていたのです。

 

言葉にできない混沌とした生活に身を置いている気もして、「こんなんで私はこの先大丈夫なの?」という漠然とした恐怖もありました。

 

明け方の授乳後にふと「あぁ、また一日がはじまる……」とひとり抱く途方もない感じ。

どうやったら解決できるのかわからず育児書を貪り読み、何かが変わるのを期待して子育てのセミナーに参加してみたり……。

でも私は、毎日次から次へと赤ちゃんに関する新しいタスクが発生し、それをひたすらこなしていくだけで脳みそが容量オーバーだったので、このモヤモヤした悩みごとはいつも頭の片隅にありつつも処理できないままでいました。

 

そんな日々のなか立ち寄った本屋で、育児関係の棚のはじっこに配置されていた一冊の本をたまたま見つけ、パラパラと拾い読みしたとき思わず涙が溢れてしまったのです。

 

その本というのが、『赤ちゃんのママが本当の気持ちをしゃべったら?』(ナオミ・スタドレン著/ポプラ社刊)でした。

 

赤ちゃんのママが本当の気持ちをしゃべったら?

 

「お母さんであるということは、何がどう大変なのか」ということについて、共感と温かいねぎらいとともに冷静に分析されていました。この本を読んで行くと、私の抱いていたモヤモヤの正体がくっきりと見えてきたのです。

 

私のモヤモヤしていた原因は、『”毎日母親をしている状態”に適切な言葉がないから』ということが書いてあり、まさにそれだと痛感しました。

育児にまつわるあらゆる作業の多くは、それを表す言葉がもともとないというのです。

 

たとえば、本書にはこのようにありました。

 

赤ちゃんの面倒を見ることは、それをしている時には『ちゃんとしたこと』に思えるのに、過ぎてしまうと説明しにくくなってしまう。『赤ちゃんの面倒を見る』とはほんとうはどういうことなのか、人に伝える言葉が見つからないのだ。

 

今まで何をしていたのかという問いに、新米お母さんは答えるだろう。『別に』『とくにこれといって』、(中略)何もしないうちに時間だけが過ぎていったというのだろうか。目の前の彼女がひたすら赤ちゃんのためにそこにいることは、誰の目にもあきらかなのに。自分のためには、シャワーもランチも諦めたというのに。(中略)何かを諦めて赤ちゃんに尽くす心を表現する言葉となると、見つけるのはぐっとむずかしくなる。

 

赤ちゃんが泣きだすやいなや、暮らしを紡ぎ出す無数の糸をいったんすべて断ち切るという、この名前のない行為こそ、名前を与えて認識する価値あるものだろう。

 (ポプラ社刊『赤ちゃんのママが本当の気持ちをしゃべったら?』より))

 

0424-03▲こうやってただ可愛いと頬をなでる時間も、れっきとした「お母さんをしている」時間なんです

 

言われてみれば、母親になってからは皆当たり前のように、自分や家のことは後回しにして赤ちゃんのお世話に時間を割いています。

なんの疑問も抱かずにそうしていますがそれは、自分が母親になる前に日常としてきた1日の過ごし方と比べると時間の使い方が大きく変わっています。物事の優先順位や価値観をも変えさせる大幅な変化です。

その変化に対応するだけでも大変なのに、目の前の赤ちゃんを観察し、赤ちゃんにとってベストだと思う方法を模索し続け、それに責任を負う。当たり前のようにしているこれらの一つ一つが「母親をしている状態」をつくっているのだと著者は言います。

 

しかもその「母親をしている状態」の具体例をあげるときりがなく、赤ちゃんのために何かをし続けているにもかかわらずその行為の一つ一つを適切に示す言葉がないため、見過ごしてしまっているというのです。

 

そうか、だから自分の感じる育児の大変さは漠然としていたんだなと思いました。

 

名称がないために「5km走ったから身体がしんどい」「大声出したからのどが痛い」などの「○○だから」の部分が言えなくてもどかしかったんだなと腑に落ちて、頭の中がスッキリしたのです。

 

この本を読んだことで、子育ては大変だと思っても仕方がないんだと思えるようになり、心がすっと軽くなりました。

そして、自分のしていることは単調で些細なことばかりだけど実は意味のある重要なことなんだと捉えられるようになり、子育てが大変だと感じることへの罪悪感もなくなりました。

また、こんなに難しい仕事を毎日ぶっつけ本番でこなしている自分ってすごいじゃん!と元気が湧いてきました。

 

内容は0~1歳の赤ちゃんを持つパパママ、これから赤ちゃんを迎えるパパママにオススメかなぁと思います(新米ママの不安定な気持ちを理解するために、是非パパにも読んでもらいたいです!)。

 

文章が多いので育児の合間にさっと読み終えられる本ではありませんが、初めての子育てに翻弄されてグチャグチャになった心がスッキリ整理される本でした。

 

本書の「はじめに」を読んだだけでも、勇気が湧いてきます。

 

母親であることはむずかしいことなのだから、育児に関してたとえどんなことでもうまくやれたら、誇っていいはずだ。私がそのむずかしさを説明することで、育児を大変と感じるのは当然なのだとお母さんたちに思ってもらえればうれしい。何でもないことでも喜んでいい理由をいっぱい見つけてもらいたい。この本から、慰めと、理解と、励ましを受け取って欲しい。特に出産して日の浅い、情緒不安定になりがちなお母さんたちに・・・。

(ポプラ社刊『赤ちゃんのママが本当の気持ちをしゃべったら?』より))

 

子育ては大変だって感じることは当然のことなんですね。

 

0424-04▲子育ては確かに大変だけど、ママはやっぱり、あなたが大好きだよ!

 

 

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